艦これ第二期ことHTML5版艦これスタート

2019年9月21日

多分あのニュースが発表されたときには艦これ運営だけではなく、今やゲームのジャンルとしては少数派となったブラウザゲームのメジャータイトルを多数抱えるDMMの中の方がより大激震となったと思います。

DMMのブラウザゲームの多くが基盤として使い続けてきたAdobeのFLASHが遂にその役目を終える日が2020年になると発表されました。

これに伴いDMMおよび艦これ運営ではWeb標準技術のHTML5を使ってゲームを移植と言うよりは「作り直す」方向に舵を切りました。まずは艦これがそのパイロット版の役目をすることになったのでしょう。

FLASH終了のお話とFLASH後の方向性が決まってからは思いの外早いタイミングで、HTML5版の第二期艦これがスタートしました。

54時間のロングランメンテナンス

FLASHベースのゲームシステムからHTML5版への移行はそんなに軽いお話ではありません。全く別のゲームシステムを1からではなくゼロから作り直すようなものです。

こうなると逆に既にかなり高度な既存システムがあることが徒になります。今までの艦これのシステムと少しでも違う部分が出ると何かと困ったことになりますから。

システム丸ごと完全に入れ替えることになりますので、HTML5版艦これリリースには過去最長の54時間のメンテナンスが行なわれました。実際には3時間ほど延長になっていますし、極めて大規模な作業になっています。

むしろこの程度のメンテナンスで済んだのは、実は艦これのゲームシステムはそこまで複雑でもないのかもしれない、ということの表れかもしれません。

完全にゲームシステムの概念からして異なりますが、MMORPGであるラグナロクオンラインでは、大規模なシステムの改修によるメジャーバージョンアップ相当のメンテナンスでは、1週間単位とかそれ以上の期間でサービスをほぼ完全に近い形で止めています。

艦これ二期の方は約57時間のメンテナンス後は一見ほぼ問題なくサービスが再開されていて、追加の臨時メンテナンスによるシステム停止などは今のところはありません。

この点は高く評価できるでしょう。

新スペック

艦これ第二期ではまずは画質が非常に向上しました。

解像度が従来の800 x 480ドットから縦横共に1.5倍の1,200 x 720ドットにアップ。くわえてJPEG形式と思われる画像の圧縮率がかなり抑えられていて、JPEGの圧縮ノイズが目立たない非常にスッキリしたグラフィクスになりました。

明示的には触れられていなかったと思いますが、SEやキャラクターのボイス、BGMなどの音声データも圧縮率が下げられ、高めのビットレートになって音質がかなり向上している感じです。

また、FLASH版よりもカットインなどのエフェクトで使われるアニメーション処理がことごとく高速化されています。

この部分はゲームを実行するパソコンやスマートフォンのスペックにも影響を受けますが、アニメーション部分のフレームレートも上がっていますので、ゲームを遊ぶときの感触が「ぬるぬる」で「サックサク」な感じに向上しています。

カットインが高速で動くようになった分、ゲームの進行速度も地味に向上していると思います。

プラットフォームフリー

そして実は第二期艦これの最大のメリットになると思われるのが、HTML5をベースとしたことで動かせる環境のOSを選ばなくなった部分ではないかと思います。

従来は艦これをプレイできるのはFLASHを動かせるOSに限られる、という制限がありました。Android版のアプリもあるにはありましたが、あれはどうもDMMがFLASHプレイヤーをエミュレートする基盤を準備したような雰囲気にも見えます。

艦これ第二期ではHTML5が完全に動かせるブラウザさえあればOKですので、ブラウザを動かすOS側はなんであってもOKになりました。WindowsだろうがMacOSだろうがLinuxだろうが、「モダンブラウザ」と呼ばれるタイプのHTML5をしっかり動かせる環境さえあれば艦これが動きます。

実際、Windows 10 MobileやAndroidでHTML5版の艦これを起動してみましたが、母港周辺の画面に関しては何ら問題なく操作が可能でした。

ただ、画面のアスペクト比と画面の縮小操作がブロックされていると思われる関係から、艦これのゲーム画面を一度に全部不都合なく表示しきるのが難しく、小さな画面でのプレイは若干難しそうではあります。

スマートフォンでは通常、画面解像度自体は足りていますから、ピンチ操作による縮小も艦これのクライアントプログラム側で許可してもらいたいところです。

見やすいフォント

画面解像度が上がった分フォントも大きくなっていて、Windows環境ではメイリオフォントが使われている雰囲気です。メイリオは読みやすいフォントとして今でも高い評価がありますので、ぱっと見たときのゲーム情報の読みやすさは上がった感じです。

くわえて背景のグラフィックにJPEGの圧縮ノイズが混じらなくなった関係で、文字はさらに読みやすくなっている気がします。

使いやすい追加インタフェース

艦隊を編成する際の艦の選択画面には艦種ごとに表示をON/OFF可能なタブが用意されました。特に母港を拡大してたくさんの艦を保持している提督にはある程度うれしい修正になったと思います。

その代わり艦のソート順にはまだまだ詰めた方が良い余地を残しています。

改と未改造艦が別々にならないソート順はちょっと考え直してもらいたいように思いました。

海域クリア情報は全てリセット

艦これの第二期を始めるに当たって、各海域のクリア状況は完全にリセットされてしまいました。全海域とも第一海域が開放されているだけで、全て再度攻略が必要な状況になっています。

また、ここまで分っている中では1-6、3-5海域以外は全てマップが新たに起こされています。第一期で定番だった「オリョクル」はほぼ意味がなくなった雰囲気です。

マップの分岐条件なども変更が入っていますので、こちらも完全にゼロから攻略をやり直すのに近い形となりました。

ただ、艦これを始めたときと条件が大きく異なるのは、多くの提督は圧倒的に高い艦の練度を持っていることです。序盤の海域から強力な艦をつぎ込んで圧倒することも可能になっています。

ただ、第二海域以降は第一期よりも難易度がやや上がっている雰囲気です。後半海域はイベント海域の難易度に近づくか超えるかもしれません。

ちなみにEO海域、1-5、1-6、2-5等々の戦果獲得のフラグもリセットされていて、大規模メンテナンス前にEOを終了している提督は、もう一度EO海域分の大きな戦果を獲得できる可能性があります。

この部分はメンテ前までにEO攻略をしない提督との間に不公平が生まれてしまっている、と言えるかもしれません。運営にはちょっと考えて欲しかったところです。

オープンβテスト中状態

いつものイベント開催時に近いかそれ以上の感触で、今回の大規模アップデート後のプレイは「オープンβテスト」感の強い状況です。

システムの根幹にかかわるような大バグは(今のところ)出ておらずサービスは継続して行なわれていますが、細かいバグは大量に発生していてそれをプレイしている提督たちがテストしている状態です。

中には一度動かせばすぐに気づくレベルのものも多く、相変わらずの品質管理のレベルの低さは見て取れます。が、ほとんどの提督さんたちは多分もうそういうものだと思っていますね、このゲームは。

内部動作のフラグ管理もどうも完全ではない感触で、著者の環境では3-2海域のオープンに1-5海域のゲージ破壊が必要でした。

こうなると1-5はEO、「Extra」 Operationとは呼べませんね

個人的にはフラグ管理のバグだと思っていますが、これで発進してしまった以上、この形が「仕様」に化けてしまうのでしょう。

こんな状態でも今年も夏イベントを行なうと運営からは発表がありました。正直かなりこれは無謀だと思われます。

海域の再攻略で各提督ともかなりの無理が生じていると思いますので、今からでも今年の夏イベはキャンセルでいいのではないかと思います。