動画視聴に好適。aptX LL対応のBluetoothイヤフォン、ラディウスHP-NX30BT
Bluetoothイヤフォン、ヘッドフォンはプレイヤーとなるスマートフォンなどとの間のケーブルがないことで、とてもよい使いごこちを実現してくれる便利なガジェットです。
ですが弱点がないオールマイティーなデバイスという訳でもありません。ひとつは音質の問題。もう一つは音声の遅延の問題です。
前者はBluetoothの信号処理を行なうチップなどの改善や高音質コーデックの実装で音がかなり良くなっています。
後者に関しては元々aptXが遅延が小さめとされてきましたが、さらに遅延を短縮できるaptX Low Latencyが開発され採用されるデバイスを少しずつ増やしつつあります。
今回取り上げるラディウスのHP-NX30BTとHP-NX20BTは、音声コーデックのひとつとしてaptX Low Latencyにいち早く対応したことが特徴のひとつです。
音声の遅延が大きいとどんな問題があるか
Bluetoothの一般的なコーデックで音楽などを聴いている場合には、コンマ数秒~の音声の遅れが常に発生しています。
音楽を聴いているだけだと全く問題はなくその遅れに気づくことすらないでしょう。
ですが、通話、動画視聴、リズムゲームなどのプレイの際には音の遅れはかなりシビアな問題になる可能性があります。
通話では相互に会話のテンポに遅れが生じて会話が行ないにくくなることが考えられます。アポロ宇宙船での月との無線通信とまでは言いませんが、あまり通話品質が高くない回線での国際電話のようなレスポンスの遅れが生じます。
動画視聴では画面の人物の口の動きと音の聞こえが一致しない状況が常に発生して、違和感を感じることになるでしょう。
もっとも致命的な影響を受けると思われるのがいわゆる「音ゲー」のリズムアクションゲームでしょうか。画面側にもタイミングを示す表示があるはずですが、そこと音のタイミングが大きく外れますのでゲームの進行がかなり困難になりやすくなります。
この音の遅れはスマートフォンや音楽プレイヤー側での音声の圧縮とイヤフォン側での音声データの展開処理の影響が大きくなっています。
低遅延をターゲットに開発されたaptX Low Latency
こういった音声の遅延を短縮できるコーデックとして開発されたのがaptXシリーズのLow Latencyと呼ばれるタイプのものです。
このコーデックを利用すれば音声の遅延は毎秒30コマの動画に対しては1フレーム分程度の遅れに抑えることが出来るとされています。
これぐらいの遅れならば動画視聴の際の音と登場人物の口の動きのズレにはほとんど気づかないレベルだそうです。また、音ゲーぐらいのタイミングならば多分ほぼ問題ないプレイが出来ると思います。
対戦格闘もののトッププレイヤー同士の戦いのように1/60秒が問題になるようなシビアさはないでしょうし。
FLW構造でクリアな音
HP-NX30BTシリーズ、HP-NX20BTシリーズでは、独自構造の振動板で振動板自体の動きを滑らかなものとしてクリアな音を実現する工夫が凝らされています。
一般的なイヤフォンのダイナミック型ドライバーの構造をよく知らなかったのですが、振動板を駆動するボイスコイルの配線が振動板に接着されているのが一般的な構造だったようなのです。
これが原因となって振動板の動きを阻害するケースがあったため、ラディウスはそこの改善を狙ってきました。FLW構造ドライバーのFLWはFloating Lead Wireの頭文字を取ったもので、この新しいドライバーの特徴的な構成を示す名称です。
上位モデルのHP-NX30BTにはカナル型としては大口径となる11mm径の振動板を搭載。より深い低音の表現を目指しています。HP-NX20BTは9.8mmの振動板を使っていて「耳に刺さりにくくきらびやかな高音を再現する」のを目指した音作りをしているようです。
ドライバー自体は10Hz~45kHzの再生に対応する能力を持ちますが、採用するBluetoothコーデックの関係でイヤフォントータルの再生周波数帯域としては20Hz~20kHzになります。
対応コーデックはaptX Low LatencyのほかにaptXとAACに対応しています。
1回の充電で最大9時間の連続使用が可能です。充電時間は約2時間です。