高画質な全天球カメラ、1型センサー搭載のリコーTHETA Z1登場

2019年9月21日

RICOH THETA Z1 360度カメラ 全天球 1型大型センサー リコー 910774 ブラック

全天球カメラのジャンルは一時期ほどの賑わいがなくなった感じもありますが、人気が廃れたとかではなく一般に認められるジャンルのカメラとして定着した、というのが市場が落ち着いた原因かもしれません。

一通り各メーカーから製品が出揃ったことも大きいでしょう。

一般ユーザー向けの全天球カメラの先駆けとしてブームの火付け役にもなったリコーのTHETAシリーズ、このほど一般ユーザー向けとしては採用例が少ない1型センサーを搭載した上位機種が登場しました。

従来の1/2.3型センサー搭載機とは一線を画する画質を実現できるTHETA Z1です。

大型センサー搭載ながら小型筐体

リコーの新全天球カメラのTHETA Z1は1型センサーを搭載しながらTHETAシリーズらしいカタチとサイズを実現しています。従来モデルのTHETA Sよりも一回りほど大きくなってはいますが、一目でTHETAシリーズと分るカタチを受け継いでいます。

センサーサイズが拡大した分レンズの前玉はかなり直径が大きくなっていて、「目玉」の存在感がかなり強くなっていますね。

ただ、一般的なカメラのカタチとは全く異なるデザインですから、全天球カメラを知らない人はこれをカメラと思わない可能性の方が高そうです。

サイズの方は幅48mm、高さが132.5mm、厚さが29.7mm、重量は約182gです。やや厚みはあるものの、サイズ感、重量感などはスマートフォンや高機能・高性能なPCMレコーダー、といったイメージでしょうか。

スペック

センサーは1型の約2,000万画素CMOSセンサーを2つ搭載しています。

レンズはコンパクトな本体に1型センサーを搭載するためにかなり凝った作りをしていて、3回光路を曲げる「3回屈曲構造」を採用しています。

最短撮影距離は40cm。センサーが大きくなった分きちんと絞りが機能するようになったのだと思いますが、F2.1、F3.5、F5.6の3段階の調節が可能です。

片側を撮影するためのレンズはいわゆる円周魚眼レンズで焦点距離がかなり短いため、絞り開放でも被写界深度はかなり深いはずです。そういったこともあって絞りの選択の幅は狭めです。レンズの焦点距離の関係もありますので、F5.6でもしっかりとパンフォーカス描写は得られるでしょう。

センサーが大型化した関係で暗所での高感度性能とダイナミックレンジが大きく向上しています。

動画は最大4Kクラス、3,840ドット x 1,920ドット、30fpsの記録が行えます。

静止画はRAWモードでは7,296ドット x 3,648ドット、JPEG記録なら6,720ドット x 3,360ドットの高解像度での記録になります。

RAW形式のフォーマットはAdobeなどが規定した共通フォーマットのDNG形式となります。

内蔵ストレージは19GB。OSにAndroidを採用している関係から、ストレージすべてを映像記録に使うことは出来ないはずですが、JPEGの静止画なら約2,400枚を内蔵ストレージに記録できます。

内蔵ストレージが大容量ですから問題になるケースは少ないと思われますが、マイクロSDカードスロットなどの外部ストレージは持たない仕様です。

電源系、インタフェースは新しい仕様

内蔵バッテリーは交換不能ですが、静止画で約300枚、動画は連続約60分の撮影が出来ます。

外部からの給電はUSB Type-Cコネクタから可能になっていますので、モバイルバッテリーなどで稼働時間の延長、内蔵バッテリーの充電が出来るはずです。

外部とのインタフェースもこのポートを使うUSB 3.0に対応していて、大きな動画を撮影してもデータの吸い出しはかなり高速に行えると思われます。

さまざまなスペックがステップアップした分が価格面にもストレートに反映されていて、税別で12万円近いプライスタグが付けられるようです。

ただ従来のモデルよりも数段高い全天球画像を1台のコンパクトなカメラで撮影可能になるのはかなり大きな魅力になりそうです。

用途によってはより大きなセンサーを持つ一眼レフなどを使ってスティッチにより全天球映像を作る撮影をTHETA Z1で代替することも視野に入るかもしれません。