ドイツ全土が笑って泣いた!映画「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」あらすじ、見どころ
2018年1月16日に映画「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」が劇場公開されます。
本作は、視力の95%を失いながらも、視覚障害を隠して5つ星ホテルに見習いとして入社し、その後15年もの間、盲目であることを秘密にしていたという驚きの半生を持つサリヤ・カハヴァッテの実話を映画化し、本国ドイツで大ヒットした作品です。
今回は、映画「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」のあらすじや見どころをご紹介します。
映画「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」あらすじ
スリランカ出身のドイツ人で15歳のサリヤ・カハヴァッテ(以下、サリー)は、幼い頃に海外旅行をした経験やスリランカに住む叔父が営むホテルに様々な国や職種の人々が集うホテルという場所に魅了され、「将来は5つ星ホテルで働きたい!」と真面目に勉学に励んでいました。しかし、突然の先天性疾患の発症と合併症により、視力の95%を損傷。残りの5%は手術をし残せたものの、父親でさえも「普通学校の卒業はできないだろう。」と諦めかける状態に。しかし、サリーは諦めませんでした!持ち前の明るさと人の何倍もの努力を重ね普通高校を卒業。ホテルの履歴書に障害のことを明記するとすべて落とされてしまったため、家族の協力を経て、障害を隠しミュンヘンの5つ星ホテルの見習い試験に見事合格!晴れて見習いとなったサリーは、次々と目の前に立ちはだかる困難を親友となったマックスや同僚たちの助けを借りながらクリアしていきます。しかし、サリーが一目惚れした女性ラウラとの出会いや予期せぬトラブルが重なり、ついにサリーは大失敗を犯してしまいます。夢も希望もなくなり自暴自棄になるサリー。果たして、サリーの無謀ともいえる挑戦の結末は?人生を幸福にするヒントがすべて詰まった感涙必至のハートフル・エンターテインメントです!
タイトル:「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」
2018年1月13日(土)新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー
配給:キノフィルムズ=木下グループ
公式サイト: http://5p-kiseki.com/
主演を務めるのはコスティア・ウルマン
サリヤ・カハヴァッテ/コスティア・ウルマン
サリーことサリヤ・カハヴァッテを演じているのは、演劇監督のドイツ人の父とインド人バレリーナの母を持つコスティア・ウルマン。映画「誰よりも狙われた男」「スリーブラザーズ&ベビー」などに出演するドイツで最も有名な若手俳優の一人です。
エキゾチックで可愛い系イケメン俳優のウルマンは、絶対に夢を諦めないという屈強な意志を持ちながらも、周囲が自然と手助けしたくなるサリー役にピッタリ!そんなウルマンが演じているサリーは、家族や医師に5つ星ホテルの夢を諦めるように言われた際に「障害者は夢を持つなと言うんですか!?」と怒る、自分の可能性を信じている青年。サリーの夢も恋もすべてに全力投球し、成し遂げようとする姿勢は、周囲の人々の心を動かしていきます。
サリーを取り巻く個性的なキャラクターたち
サリーは5%しか見えない視覚障害を隠し、5つ星ホテルでの研修に臨みますが、サリーに欠けているのが「視力」だとしたら、サリーを取り巻くキャラクターたちもどこか欠如している人たちばかり。そんなサリーを取り巻く個性的なキャラクターたちをご紹介します。
サリーの親友となるマックス(ヤコブ・マッチェンツ)は、ドイツにホテルやレストランを経営する父を持ちながらもその恵まれた環境を生かそうとせず、いかに楽してプレイボーイに生きるかばかりを考えている青年。サリーの障害にいち早く気付き、協力を志願しますが、それもサリーの豊富な知識と記憶力をアテにしているのでは?と思ってしまうほど、研修なのにやる気なし覚える気なし。サリーがいなかったなら、「やーめた!」と途中で投げ出すか、ヘマがバレ、クビになるであろうキャラクターです。しかし、サリーのことに関しては、業務外時間の深夜や休日でも練習にひたすら付き合ってくれ、サリーが挫折しそうになると心配し、マックス流の破天荒な方法でサリーを励ます心優しいプレイボーイなのです。
もう一人、サリーの職場の先輩で障害に気付き、助けてくれるのが、アフガニスタンからの難民で元医師、現在は皿洗いをしているハミド(キダ・コドル・ラマダン)。難民の混乱下でドイツにやってきてビザも限られたものしか発行されておらず、ドイツ語も読めないため、「ドイツで救急隊として働きたい。」という願いがあるものの、皿洗いをするしかない毎日を送っています。同じ中東出身のサリーを助けてくれ、サリーはハミドの就労ビザを変更できるように大使館とのやりとりをサポートします。難民受け入れ問題の過密化とフランスに次いで多民族国になりつつあるドイツの現状を表わしているキャラクターでもあります。
サリーがその鼻歌を聞いて、一目惚れならぬ一聴惚れしたのが、5つ星ホテルに食材を卸している農場のラウラ(アンナ・マリア・ミューエ)。幼い息子オスカーを抱えて、両親の営む農場に戻っているシングルマザーで、サリーと出会った時もラウラ曰く“嘘つき”の男性と付き合っており、男運がありません。そのため、サリーとイイ感じになってから「嘘つきの男は嫌い。」との発言をし、サリーが障害を告白するタイミングを失ってしまい、そのことから二人の関係に亀裂が入ってしまいます。
サリーの前に立ちはだかる最大の壁となるのが、レストランでの指導教官となるクラインシュミット(ヨハン・フォン・ビューロー)。ホテル愛ゆえの厳しさなのですが、ことさらサリーを目の敵にし、追い詰めていきます。
本作では、このどこか欠如した人々が、サリーを助けることで人としてさらなる成長していき、サリーもまた、同じくらい彼らを助けていく様子が温かく綴られています。人は、一人ではできないことも支え合い助け合うことでどんなことでも可能になる、善意の輪、助け合いの輪がどんどん広がることの素敵さとその可能性に、温かな涙が溢れる作品です。
サリーを待ち受ける超難関!5つ星ホテルの研修
5つ星ホテルともなると、ロビーには常にたくさんの人々が往来し、階段も多く、サリーにとっては人や物にぶつからずに歩くだけでも一苦労です。そこでサリーは、自身の姉やマックスの助けを借り、すべての場所に何歩でたどり着けるかを暗記し、健常者と同じように振る舞います。そんなサリーを待ち受ける超難関なのが、「5つ星ホテルの研修」。客室の清掃では、指導官が手本で見せるベッドメイキングのやり方が見えない、鏡や空間をピカピカに拭こうにも見えない。研修なので当然、時間制限内の作業が求められ、焦るサリーにマックスがまさかの裏技を伝授します。
厨房研修でも、汚れた皿を綺麗にしようにも見えない、食品加工機の仕組みが見えないので、あわや大怪我の大惨事に!
ホテルの看板でもあるロビーの受付研修では、客に渡すカギのナンバーを間違えていても、正しいナンバーの鍵を探すことができません。
そして、最後にして最大の難関がレストランでの研修です。バーでのカクテル作りでは何十種類もあるお酒の中から適切なものを選び、グラム単位でシェーカーにセットするにも見えない、テーブルセッティングをしようにも見えない、よく客が「これ、ください。」とメニューを指すのも、何を指しているのか見えません。普通に歩くだけでも一苦労なのに、グラスを大量にトレーに乗せ運ぶ難易度の高さと言ったらもう!ものすごいハラハラドキドキです。
これらの難関は当然、サリー一人ではクリアすることはできません。昼間はマックスが出来る限りフォローし、勤務時間外に父親が経営するレストランに連れていき、サリーの練習にひたすら付き合ってくれるなど、二人の熱い友情に胸が熱くなります。
また、サリーは視覚がない分、記憶力や耳や嗅覚が優れており、一度聞いたことはすべて暗記でき、個々の客についても一度話した声や内容を覚えていることができます。
マックスや同僚の助けを借りながら、そしてサリー自身の熱意と才能を駆使して、どのように研修をクリアしていくのか?それが本作の大きな見どころとなっています。
障害者の就労の難しさと現状
障害者が健常者と同じ職場で同じように働くことは、これだけ働き方が多様化し、システムでのフォローができるようになった2018年現在でも、とても難しいです。その理由として、先天性のものだと障害者自身に成功体験が少なく、自信が持てないこと。さらに、その自信が持てない中で、やりたいことを見つけても周囲から「無理だ。諦めなさい。」と繰り返し言われるうちに、一生懸命振り絞って出した勇気や努力を潰されてしまうことなどが挙げられます。
本作でも、人一倍、真面目で勤勉で明るいサリーでさえも、困難なことが重なり、ついには「障害には勝てない。」と挫折してしまいます。その経験を通して、サリーは夢の実現のためには、「近くへいくなら一人で、遠くへ行くなら仲間と。」と、他者の力を借りることの重要性に気付きます。
私たちは諦めずに突き進むサリーに自己を投影し、ともに笑い泣き、挫折し再び立ち上がり、その奇跡に心震わせることでしょう。そして気付くのです。「幸福とは得るものではなく、幸福を目指すその道そのもののことだ」と。
感動の涙をたくさんありがとうと言いたくなる映画「5パーセントの奇跡 〜嘘から始まる素敵な人生〜」は、2018年1月13日公開です。早くも今年No.1の奇跡をぜひ劇場で味わってみてください。
(文 / Yuri.O)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません