心も夢も踊り出す!映画「グレイテスト・ショーマン」見どころ総まとめ!
2018年2月16日に劇場公開し、大ヒット上映中の映画「グレイテスト・ショーマン」。ブロードウェイでトニー賞の受賞歴があるヒュー・ジャックマンを主演に迎え、ショー・ビジネスの基礎を築いたとされるP.T.バーナムの半生を描きました。そんな夢のような実話をベースとした映画「グレイテスト・ショーマン」の見どころをご紹介します。
映画「グレイテスト・ショーマン」あらすじ
貧しい家に生まれ両親も早くに亡くしたP.T.バーナム(ヒュー・ジャックマン)。幼なじみで上流階級出身の妻・チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)を幸せにすることを願い、挑戦と失敗を繰り返していました。ある日、勤めていた会社が倒産したバーナムは、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーを思いつきます。ショーは街の反感を買いながらもヒットし、イギリスでヴィクトリア女王に謁見するまでに成長します。バーナムの一座は順風満帆に見えましたが、バーナムが奇跡の歌声を持つ歌手のジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)に出会ったことをきっかけに、皆の足並みが乱れ始めます。やがて、それは築き上げたすべてを失いかねない波乱へと発展していき・・・。
脚本に映画「美女と野獣」の監督を務めたビル・コンドン、音楽に映画「ラ・ラ・ランド」を手掛けたチームを迎え、<ショー・ビジネス>の概念を生み出した男・P.T.バーナムの奇跡の挑戦が、映画史上最高にロマンティックなミュージカル・エンタテインメントとして、今、開幕!
タイトル:「グレイテスト・ショーマン」
2018年2月16日(金)TOHOシネマズ新宿ほかにて全国ロードショー
配給:20世紀フォックス映画
公式サイト: http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/#/boards/showman
ショー・ビジネスの基礎を築いたP.T.バーナムとは?
映画「グレイテスト・ショーマン」の主人公として描かれているP.T.バーナムことフィニアス・テイラー・バーナム。バーナムは貧しい家の生まれながら、挑戦と失敗を繰り返し、ニューヨークのある博物館を買い取ります。そこでオンリーワンの個性を持つ人々を集め、誰も見たことがないショーを披露したことから急成長を遂げたアメリカの興行師として知られるように。バーナムが集めたのは「入れ墨男」「犬少年」「親指将軍」など、いわゆるフリークスと呼ばれる人々や空中ブランコができる黒人の兄妹など。彼らは皆、この時代、不遇の環境を強いられており、バーナムの一座に入ったことで初めて“家族”と呼べる居場所ができ、生きる喜びや夢を見出していきます。バーナムは、そんな彼らに人並み外れた技を身に付けさせ、動物たちと競演させたショーは「地上最大のショー」と呼ばれ、現在のサーカスなどのショー・ビジネスの原型を築いたとされています。移動式のサーカス列車やどこにでもすぐに建てられる巨大テントもバーナムの発案だと言われています。バーナムの死後、一座は、リングリング兄弟による「リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス」としてアメリカで最も有名なサーカスのひとつとして人気を博してきました。しかし、動物愛護団体からゾウのショーについて批判を受け、ゾウのショーを中止したことから客足が落ち、2017年に惜しまれながらその歴史に幕を下ろしました。
ラブ・ロマンスの帝王ヒュー・ジャックマンが帰ってきた!
映画界だけでなく、ブロードウェイのミュージカル界でも活躍し、演劇界のアカデミー賞と呼ばれるトニー賞の受賞歴もある俳優ヒュー・ジャックマン。ミュージカル映画としては、2012年に主演した映画「レ・ミゼラブル」のジャン・バルジャン役が記憶に新しいですが、「レ・ミゼラブル」が悲劇なのに対し、映画「グレイテスト・ショーマン」は夢を追い求めて光り輝く人々の物語です。本作のプロデューサーと脚本家のビル・コンドンは、2009年にジャックマンがアカデミー賞の司会を務めた際に、共に番組に取り組んでおり、その時に「ジャックマンこそ地上最高のショーマンだ!」と感じたことから、本作の企画がスタートしました。「レ・ミゼラブル」のジャックマンももちろん素敵ですが、根っからのジェントルマンでいつも周囲の人々を明るく気遣う彼が本当に輝くのは、ロマンティック・ラブストーリーなのです。というのもジャックマンは、2000年前後に舞台「美女と野獣」や映画「ニューヨークの恋人」「恋する遺伝子」など、ラブストーリーで活躍しており、ヒュー・グラントと並び“ロマコメの帝王”として、世界中の女性を虜にしてきたからです。本作では、自らと周囲をプロデュースすることに長けたバーナムという人物を、艶と迫力を兼ね備えた美声と、年齢を重ねても愛さずにはいられない少年のような瞳と笑顔で、120%以上の魅力をもって全身全霊で演じています。2018年現在49歳のジャックマンですが、キレのあるダンスと情感豊かな歌声は、猛者揃いの本作の俳優陣の中でも群を抜いており、再び、ヒュー・ジャックマンに恋に落ちてしまうこと間違いなしです。
映画化を決定づけたキアラ・セトルの歌声
本作は、CMやMV業界で活躍していたマイケル・グレイシー監督の初監督作で、完成までに実に7年もの歳月を費やしており、企画の段階で製作中止か続行か?と選択を迫られる機会が何度もありました。その映画製作続行の決定打となったのが、ブロードウェイの歌姫キアラ・セトルが歌う楽曲「THIS IS ME」です。何度も行われたワークショップのラスト、ヒュー・ジャックマンらが見守る中、キアラは初め、マイクの前から出ようとはせず、恐れながら本楽曲を歌っていました。しかし、次第に歌詞の力に共感し、マイクと譜面をどけて前へ進み出て、「痛烈な言葉で私を傷つけようとしても、私はそれより大きな力でそれらをかき消すわ。私は勇敢だけど傷付くし、アザもある。それがありのままの自分で、これこそが本当の私なの。」と髪を振り乱し全身を鼓舞し、歌い上げます。歌の終盤、感極まったキアラが声を震わせるとジャックマンが目に涙を浮かべながらキアラの手を握りしめ、励ましました。これこそが、映画製作に関わるすべての人々の心を動かし、本作の製作が本決定した瞬間でした。この時の動画は20世紀フォックスの公式YouTubeで公開されています。本作中で髭を持つ女性レティ・ルッツ役を演じているキアラの魂の叫びは、主役に匹敵するほどの圧倒的な生命力と全人類への人間賛歌となっています。
ザック・エフロン×ゼンデイヤが魅せる身分違いの若い恋
本作ではバーナムとチャリティの他にもう1カップル、世間の人種差別と戦い、愛を貫こうとするアメリカ上流階級の白人男性フィリップ(ザック・エフロン)とサーカスの花形的存在である黒人女性アン(ゼンデイヤ)との若い恋模様が描かれています。バーナムの一座が活躍した1850年前後は、1861年に勃発した南北戦争の前であり、白人と黒人の恋愛は肌の色以外何も違いがないにも関わらず世間では認められていませんでした。フィリップとアンは互いに想いを寄せ合うようになりますが、フィリップは世間の目を気にしてしまいます。そんな二人の気持ちを象徴するかのシーンが、空中を舞うアンをフィリップがつかまえようとする、ザック・エフロンいわく「シルク・ド・ソレイユとシェイクスピア劇を組み合わせたようなシーン」です。「REWRITE THE STARS(リライト・ザ・スターズ)」の楽曲に乗せ、ザック・エフロンとゼンデイヤがデュエットしながら、アクロバティックな空中ロマンスを披露するこのシーンを、なんとエフロンとゼンデイヤがハーネスも命綱もなしでほとんど自分で演じています。二人の想いが重なり、すれ違い、また重なる、これまで誰も観たことのない、映画史上最高にロマンティックでスリリングなラブシーンに仕上がっています。
アンデルセンも惚れた“スウェーデンのナイチンゲール”
奇跡の歌声を持ち“スウェーデンのナイチンゲール”と呼ばれ、1850年代前後に活躍した歌手のジェニー・リンド。本作では、バーナムの心を惹きつけ、一座の運命を揺るがす存在として登場します。バーナムはジェニーとタッグを組むことで上流階級の客を呼び寄せることに成功しますが、同時に、自身も上流階級にコンプレックスを持ち、レティたちに差別的な感情を抱いていることに気付かされます。ジェニーはバーナムと出会った時、すでに欧州でナンバーワンの歌手としてヴィクトリア女王の寵愛も受けていましたが、バーナムとアメリカツアーを敢行したことで、世界中に知られる歌手となります。現代で言えば、レディ・ガガくらいの人気と言えばわかりやすいでしょうか。
また、ジェニーは童話作家のアンデルセンが恋をし、失恋した女性としても知られており、アンデルセンの童話「柱の下」「天使」「小夜啼鳥」「雪の女王」はジェニーとの恋に影響を受けて書かれたと言われています。
第75回ゴールデン・グローブ賞最優秀歌曲賞受賞の名曲たち
本作は第75回ゴールデン・グローブ賞で作品賞、主演男優賞、主題歌賞の3部門にノミネートし、本作のメインテーマを歌っている「THIS IS ME」が映画「リメンバー・ミー」の「Remember Me」を抑え、見事、最優秀歌曲賞を受賞しました。本作は2017年に公開した映画「ラ・ラ・ランド」より何年も前に企画がスタートしており、「ラ・ラ・ランド」で各音楽賞を総なめにしたベンジ・パセックとジャスティン・ポールのコンビにオファーしたのも、本作が先なのです。当時、まだ無名だったパセック&ポールコンビを起用するため、マイケル・グレイシー監督は各映画関係者に「アカデミー賞も獲った売れっ子なんですよ。」と嘘をついて納得させたとか。それが実際、「ラ・ラ・ランド」でアカデミー賞主題歌賞を受賞し、第90回アカデミー賞で本作の「THIS IS ME」もノミネートされているのですから、グレイシー監督の先見の明には舌を巻きます。
本作中で披露される楽曲は全キャストによる「THE GREARTEST SHOW」やすべてを失ったバーナムが本当に大切なものに気付く楽曲「FROM NOW ON」など、「THIS IS ME」に負けず劣らず名曲揃いです。その理由は、どの楽曲も登場人物たちの映画では描かれていない、これまでの経験や暗い部分を感じ取ることができる楽曲だからです。ただのハッピーな楽曲ではないからこそ、私たちの心の奥まで響き、余韻が抜けない、そんな贅沢な映画時間を「グレイテスト・ショーマン」で体感してみてください。
夢へ光へと手を伸ばし続ける“人類の祝杯”たち
本作は意外にも公開後、批評サイト「Rotten Tomatoes」で55%フレッシュと低い評価からスタートするなど、批評家による辛口レビューが相次ぎました。これは、2018年現在のハリウッドではオリジナル脚本のミュージカルの成功が難しいことと、P.T.バーナムの人生をかなり脚色して描いているゆえの評価だと思われます。しかし、本作を観た観客の口コミからジワジワと客足を伸ばし、2018年2月の段階で全世界興行収入300億円を突破し、ロングランヒットとなっています。本作の歩んだ道は、バーナムと一座が苦難を乗り越え歩んだ道と似ています。私たちは、自らの運命を手繰り寄せる彼らの生命力に胸を熱くし、歓喜の涙が沸き上がることでしょう。
(文 / Yuri.O)
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません