今さら聞けない「オネエ」のあれこれ
身近になった「オネエ」
マツコ・デラックスさんが週の大半、ほぼ毎日テレビに出演しているなど、「オネエ」を見る機会も増え、「オネエ」は多くの人にとって身近な存在になってきたのではないでしょうか。
しかしながら、彼らの「違い」を知っていますか?男性が好きな男性は、仕草が女らしく(しなやかで)、女性になりたい人たちだと思われがちです。
けれども、一筋縄では語れない、複雑かつ多様なのが「オネエ」の世界です。今回は今さら聞けない「オネエ」の基本的なジャンルや基礎知識を紹介します。
男性が好きな男性「ゲイ」
まず、男性の格好をしていて男性が好きな人、つまり「ゲイ」です。クリス松村さんなど男性の姿をしていて男性が好きな人です。
「ゲイ」の人にも言葉や仕草が女性らしい方と、言葉や仕草が男性らしい方など様々な人がいます。男性の格好をし、「男性らしい」言葉遣いや仕草の人は、外見や言動から見てもゲイだとわからないことが多く、カミングアウトをしなければ気づかないかもしれません。
また女性らしい言葉や仕草をしていても、男性ではなく女性を好きな異性愛者(「ストレート」)もいます。例えば尾木ママこと尾木直樹さんなどです。つまり、言葉遣いや仕草と、男性が好きかどうかは関係ないのです。
生れてきた性別に違和感を持つ人々「トランスジェンダー」
次に男性の姿で生まれながら、「男性」として生きることに違和感がある人々です。こういった人たちをトランスジェンダーと呼びます。
男性から女性として生活する人のことをMtF(エムトゥエフ、英語でメール トゥ フィーメールの頭文字です)と呼びます。細かく言えば、男性として生活をするのに違和感があるけれども、女性として生活したいか、と言われればわからない、という人々をMtX(エムトゥエックス)と呼びます。
トランスジェンダーの人々はその人によってどこまで女性として生活をするかは違います。休日のみ女性の格好をして生活できれば満足できる人、女性の格好をして、女性として生活すれば十分な人、女性の格好をして、女性として生活をし、身体的にも女性への性別適合手術で女性の身体になりたい人など様々です。
ここではそういった多様な人々の総称としてトランスジェンダーを使うこととします。
トランスジェンダーの中で身体も戸籍も女性としていきたい人々「性同一性障害者」
男性として生まれ、自分は女性だと自認し、医療行為を受ける人のことは性同一性障害者と呼ばれます。最近、振付師・タレントのKABAちゃんさんが性別を女性にするために医療行為を受けているという報道ありましたね。
医療行為としてはホルモン治療やカウンセリングなどがあります。医師2人の診察で性同一性障害であるという診断書を書いてもらい、子どもが成人を超えているか、性器が(手術を経て)女性の形になっているかなど5つの条件をクリアすると、戸籍も女性に変更できます。例えば佐藤かよさんなどがその例です。また性同一性障害と診断されることは名前の変更もしやすくなります。
ただし、女性の格好をしているからと言って「男性ではない」と判断するのは尚早です。トランスジェンダーではなくとも、女性の格好をしている人たちがいるからです。女装家や女装子(じょそこ)、ドラァグクイーンなどの人たちが挙げられます。女装家ではマツコ・デラックスさん、ミッツ・マングローブさんなどが「女装家」だと名乗っていますね。またナジャ・グランディーバさんがドラァグクイーンとして挙げられます。
複雑な「オネエ」の世界
さて、ここで重要なのは、女性の格好をしていることと、男性が好きかどうかは関係がないことです。
マツコ・デラックスさんは男性が好き、つまりゲイなのです。一方、テレビで特集するときに出てくる素人さんの女装子さんに彼女がいることは少なくありません。またトランスジェンダーのMtFさんや性同一性障害の女性が、男性ではなく女性が好き(つまりレズビアン)である可能性もあるのです。
「オネエ」と一言で言っても、とても多様で複雑なことを理解していただけたでしょうか。身体や戸籍が男性であること、女性であること、また言葉遣いや仕草が男性らしいか女性らしいか、なども一概には言えずとても複雑です。